sound sepher's PASTIME

ゲーム開発で思ったことや、趣味などの話を書き綴っていきます。

箱セレの制作を進めつつ

 いやまあ、まだ着手までは入ってないんですけど。次の企画で一緒にやる絵描きさんも決まって、スマゲビゲーの方の作業もほぼ終わって、あとはレビュー後手直し・原稿作業が残るのみ。レミャードリィBGMの制作も片付いたってことで、やっとこ箱セレの制作に入れそうな段に入りました。長かった……まるまる3ヶ月かかった。

 完全に止まっていた残りキャラのイラストもやっと進み始めて、自分によらない外注素材周りもあとちょっとかな~って雰囲気が漂ってきました。長かった……。

 あとは自分で作るドット絵なんだけど、ドット絵でちょっと詰まってて、今はそれより先にやっておかないといけない、次の企画群の草案を30コくらい作ってるとこです。

 企画考えて自分で隅々まで手を入れてゲームを作るっていうのは、長い間ずっと夢見てたことだったので、少しずつ勉強を続けて、やっと実現できそうな段までこれたのが、とても嬉しいです。

 結局のとこ、やりたいことがあるなら自分のお金で、時間を使って、スキルを上げて、自分でできるよってところまで行かないと、なにも達成できないというのが、今の答えなのかな~と。

 「おれ企画やるからプログラマー・グラフィッカー・サウンド募集」的なやつはだいたい頓挫すると思っていいです。頓挫したし。

 例えお金を集められても、開発のノウハウがなければ先に進むことは難しいでしょう。たぶん。ゲームの作り方を知らないまま走り始めたら、苦労すると思う。それができちゃうなら完全にプロのディレクターとか企画屋とかプロデューサーレベル、仕事にできるレベルですし。

 ただ、現時点ではまだ「完成させられる」というのを人様に見せることができていないので、今はそれを見せられるよう毎日一歩一歩進んでいくのみですね。さ~がんばるぞ!

すべては演出のために

記事のはじめに

 ちょっとまだ研究中の要素なのですが、みんなにも共有したいので、今わかってることのさわりをまとめてみました。知ってる人は知ってると思いますが、これからゲームを作る人にとってのヒントになったらいいなあと思います。雲をつかむような話題なのですいません。

本文スタート

 ゲームを作っていて感じたのは、面白くなるも、面白くなくなるも、活かすも殺すもすべて演出次第であるなあ、と。

 演出に含まれる要素ってたくさんあるので一言では言い尽くせないのですが、例えば時間的に言えば間。空間的に言えばキャラクターの位置とカメラに映る距離関係(など)、ライティング。テキストで言えば、「……」や「――」や「、」などの使い方(間に近い)、セリフの言い回し、それらを含めた文章の表現方法。いろいろあると思うんですが、それに加えてゲームには、「パラメータ」って概念があるんですよね。

パラメータも演出のうち

 ザコ敵なら1ターンで全滅させられる。ボスなら苦労しないと倒せない。それ以外にも、HPが0になっても倒れないキャラクターなど、パラメータから演出を作ることができると。

 ゲームバランスも、演出のうちだったんですね。そう考えると、バトルも演出のひとつなのかなー、なんて。

 すばらしいゲームは演出もすばらしい。意味のない要素がない。音楽でも「このパートにはどんな意味があるんだい?」って感じで、音色、まとまりとしてのフレーズ、小節間のフレーズ、縦軸で見る和音の繋がりで細かく意図を盛り込んでいくのが基本なのですが、それをゲームでは拡大解釈した形で盛り込むことができるみたいです。

 全体の方針にあわせてパートごとに「こうしました」っていう「意図」を盛り込む。それが大切なんだなあ、と。

インタラクティブなところも活かしたい

 ちなみにインタラクティブとは「対話型」「双方向」、つまり「なにかをしたら結果が返ってくる・反応がある」ことを指します。まさにゲームのことです。

 既存ゲームでもたくさんいろんな試みがされてるんですが、クロノトリガールッカの母親イベントとか、MGS3のラストシーンとか、バイオハザード1のかゆうまとか、プレイヤーの意思を問うイベント、自動では進まない・自動で進ませてはならない、などいろんなアプローチがあるのかな。I wanna be the guyなんかもすべては演出だと思います。

 これをうまく使うと、びっくりするほど衝撃的な体験ができるので、やっぱりゲームは「体験型」のメディアなんだなあと思う次第です。ちょうどVRとかいろんな試みがされてるので、今後はそういうところからも面白い提案が出てくるんでしょうね。もう出てきてるかな?

 インタラクティブな表現はゲームでしかできないことで、上記みたいなヒントがあれば割とゲーマーなら思い当たる作品が出てくると思うので、そこから「このゲームのこのイベントは、こういう理由でこんな体験型のイベントがあった」みたいに掘り下げて、「なぜそうしたのか」を自分なりに解釈していくと、演出のデータベースができていくのかな~なんて感じています。

実際作るときは

 そうすると「じゃあ自分はこういうイベントでこういう演出をしよう」なんて雰囲気で、最初は真似事かもしれないですけど、自分なりにやりたいことのアイディアをゲームで表現できるようになる、もしくは訓練でできるようにしていくと。

 基本は「なにかをしたら、なにか返ってくる」ことなので、ここから色々工夫すると、なにかおもしろい提案ができるかもしれません。これは他の分野みたいな一方通行の分野ではなかなか出てこない提案なので(あるにはある)、突き詰めて考えてみたいですね。

 もちろん、すべては演出のために。

戦略性を上げるとめんどくなる問題について

 ゲームを作る側としては、やっぱりなんか変わった機能を入れたくなるもんなんですけど、オーソドックスと言われるものになにかひとつ追加するって、けっこう危険なんですよね。

例えば

 ターン制RPGのバトルで、1人頭1ポイントのコスト消費して行動できるとします。それが1ターンにキャラクター数ぶんのポイント(4人なら4ポイント)もらえて、1人が4回行動できる……とか。あるあるです。

 これって上記の案のまま実装すると、(従来の仕様のままなら)オートバトルできなくなるし、1ターンでボタンを押す回数も増えますし、とにかく手数が増えるんですよね。1ターンで考えなきゃならないことも増える。

 確かに戦略性は上がるし、便利になるんだけど、通常戦闘時にボタン4回「たたかう」を選べば戦えたはずが、ポイント割り振りの仕様によっては手数が倍にも3倍にもなってしまうんですね。これ、100回1000回戦うRPGなら、1ターンにボタンを押す回数が400回なら800~1200回になるってことなんで、重ねていくと大変なことになるわけです。

 オートバトルを入れるなら、プログラム側でも少し手を加えなければいけない(逆に言うと、先に加えられるよう作っておかないとめんどくさい)とか、色々問題が出てきますし。

 なもんで、なにか仕様を加えた上で面白くまとめてあるゲームは、そのあたりかなり考えつくされてるな~って思います。スゴイ。

そんな感じで

 従来のテンポのいいオーソドックスな仕様をさらにテンポよくするようなアップデート路線を選んだほうがいいよなーってなるんですね。さいきんのソシャゲでもあるあるですが、「そもそもコマンド選択せずにワンボタンで戦闘開始」とか。

 戦略性重視で時間をかけて戦うなら、その1度の戦闘でもらえる経験値なんかも、既存のテンポのいいRPGで同じ時間をかけたものと同等くらいのリターンがないと、戦闘にかかる時間のぶん、プレイタイムが増していきますし。

 ぜったいにすでにある同ジャンルの作品と比較されるので、そこをなんとかしてやらないと、それ以前にでた作品のほうが面白いじゃん、ってなってしまう。そうして調べていくと、人気作品って「増やす」んじゃなくて「削る」路線でアップデートしてることに気付くようになってくるかなーと。

これは一例で

 割りとそんな感じで、そこかしこに洗練するべき要素があって、先人はそれをガッツリいじっていった痕跡がやっぱり調べてくると見えるんですよね。

 今後はソシャゲ派生のRPGの台頭もあって、これまで当たり前だったことでも「面倒」って切り捨てられるようになっていくでしょうし。すばやさの概念とか。

 昔から「これは少し面倒だけど、あったほうがいいよなー」って言われてた要素が少しずつ削り取られていく歴史が続いてるので、これからもどんどん単純化していくのだろうなーって考えてます。

 一時期話題になっていた「ボタン押したら結果が出る」みたいな仕組みって、割とその、考えに考えつくされた結果出てきたものなんじゃないかな~なんて思ったり。演出含めしっかりまとめれば、それでも十分面白いですもんね。

 そういうことを考えてると、思考の迷宮にさまよい込んでしまいますが、それはそれで楽しいので、今あるものに疑問を持ってみるのも楽しいかもしれませんね。

「作る」とは、”できない”を”できる”に変えていく工程のこと

 ゲーム作りの話題です。最近とみに思うことなのですが、言葉にすれば「作って形としてまとめる」と簡単にまとめられるのですが、とにかくひたすら次々にトラブルが起きていくのですね。

 よほどのお金や時間が余ってない限り、”こういうものが作りたいけど、事情で作れない”みたいな状態がずっと続く。それならまだしも、”実際作り始めたら、中断せざるを得ないトラブルが発生する”、そういうことが次々に起きるのでした。

 予防線をいくら張っても不足の事態は起こる。そうしたことに対応するのが、まとめ役のしごとなのですね。

例えば

 開発中の「箱庭セレナータ」はもともと僕が作ろうと考えていた企画内容から程遠いレベルに改変してます。

 もともと、このゲームはゴシック&スチームパンクの3DダンジョンRPGでした。それをわけていただける素材や、参加していただける方の作風にあわせて改変していった結果、童話風の見た目のRPGになった……という経緯があります(もちろん、自分が好きな落とし所を探りつつ、練って練って練り上げた結果、この路線になった)。

 これがやりたいけど、できない。あれがやりたいけど、できない。だから自分の引き出しと、人の引き出しからできることをまとめ直して、キレイな形に整理して、落とし込むというのが、作ることなのではないかなと。

ディレクションで上達するスキル

 間違いなくこれは、「集まった人・素材をキレイに整理してまとめるスキル」だと思います。これをやっておくと、誰かの下で働くときも、リーダーが求めるものが察せるようになります。何に苦労しているのか、ある程度察せるようになります。

 そして、物を作るときの落とし所……”今あるもので何を作れるのか”まとめる速度がアップします。これにもパターンがあるというのに、最近気付き始めました。

まだまだ先がある

 でもこの解釈の先にも、まだまだ先があるように思います。上記のように、まとめていて気付いたのですが、まとめるにもパターンがあるみたいなんですよね。

 たぶんこのスキルが極まると、俯瞰して何が足りない・足りてるかを予測して、ひとつひとつ、できないことをできることに変えていく(現実的でないことを現実的な範囲に落とし込んでいく)みたいな感じになっていくのかな~なんて推測しています。

大切なのは、言語化

 こういうことって、説明できなくてもカンでできる……聞けば当たり前……みたいになりがちなのですが、言葉で説明するのって大変なんですよね。思いつかない。

 自分がこうしてブログにまとめているのは、考えていることを文章化して、自分の言葉で説明できるようにする訓練でもあります。

 まだまだ未熟ですが、自分の足跡を誰かが見て、何かの参考になるといいなぁ、と思います。

最近ウィザードリィが(また)マイブーム

 だいたい毎年、ドラキュラ月下→ロックマンウィザードリィのルーチンでマイブームがぐるぐる変わるんですけど、ロックマンブームがいったん落ち着いてきた(というかクリアしまくった)ので、ウィザードリィのターンに入りました。ちなみに今はクローン派生系の3DSエルミナージュ2遊んでます。エルミ2を遊ぶのは実質3回目だ……。

ウィザードリィとの出会い

 それは確か、むかし勤めてた会社に入って数年くらいの頃、ネット通販の中古で買ったワンダースワンクリスタルに、ロマサガウィザードリィリヴィエラセット(他にも入ってた)がおまけでついてたんですね。

 子供の頃(小学生くらいだったかなあ)、リイド社かどこかから出てた、ウィザードリィ4コマまんが王国を読んだりして、ウィザードリィの存在は知っていて。で、おまけでついてきたってことで、遊んでみようと。

 そしたらびっくり、めちゃくちゃおもしろいじゃないですか。レベル300くらいまで上げた。前列ロード3人全魔法持ち、後列忍者3人全魔法持ち、みたいな構成で、全員最強装備くらいまで揃えた。グレーターデーモン狩り4時間とかふつうにやってた。

なので、22~3歳くらいで初めて出会った

 ウィザードリィリリースから20年以上たってからの出会いってことで、実はかなり遅れて入ったタイプでした。その後、PC版リルガミンサーガを買ったり、ウィザードリィ派生のゲームを買い集めたり、今ではほぼ全シリーズを揃えてる、という状態です。

 もちろんその時点でウィザードリィはとっくにクラシックと呼ばれ、世界樹の迷宮もまだリリースされておらず、3Dダンジョン復刻みたいな時代ではないので、忘れ去られかけていた時代だったんですが。

 つまり、作法さえ知れば(当時の時点で)若い子でもウィザードリィはハマれるってことなんですよね。実際に、更に整理された世界樹の迷宮で再ヒットしたわけですし。

シンプルなのが良かった

 じゃあ、どんなところが良かったかというと、皆が口を揃えて難易度を話題にしますが、更に難易度が上がった#2や#3、更にリドルなどの謎解きが増えた#5は、実は苦手なんです。難しくて……。クリアしたけど、#1みたいなテンポの良さを感じなかったのが原因かなぁと。僕はいわゆる#1原理主義みたいなタイプに近いかも。でもすいません、僕はオートマッピングないとつらい派です(優しくしてください……)。

 これは攻略を見ながらダンジョン探索することだけを楽しんでいたということに尽きるのでしょう。謎解きは必要ない。複雑なフラグ立てはテンポを害する。そういうことなのかな、と。

 もちろんこれは個人的な感想で、それが良いという人もいるので否定はしません。が、未知のダンジョンをひたすら探索して、敵と戦って、レベルを上げて、装備を集める。それだけで十分だったということだったのかなーと。

ダンジョンに意味がほとんどないのが良かった

 ウィザードリィ#1は、実質1・2・4・9・10階以外は本編に関係なく、2階で4階に進むアイテムを集めたのち、4階からはエレベータで9階に直行でき、9階ではすぐ近くにあるシューターで10階へ進めるという、シナリオすっ飛ばしていきなりラストボスを拝めるという潔さが良かったな~と。

 3・5・6・7階はほんとに意味のないマップで、行きたければ行けば? みたいな突き放し感もよかった。ダンジョンとしてみれば結構狭いんだけど、その突き放し感で広く感じた。

敷居が高いのは作法にある

 #1を遊んだ人なら一度はやったことあると思うのですがマーフィーラン。これをひらめくか、突き放されたダンジョンの遊び方を自分で見つけられるか、初プレイで運良くいい装備ドロップを得れるか…そういう部分でウィザードリィは敷居が高いんですよね。レベルも上がりづらいので、マーフィーランやらないとつらいですし。

クローンを自分で作るなら

 クローンといわず、3DダンジョンRPGを作るなら自分だったらどうするかな~って思うんですけど。

 オートマッピングあり、全滅OK、ロストOK(でも死んだら拠点に死体輸送できる機能はないとつらいな~)、ズルいマップトラップは(まあまあ)OK、ダークゾーンは意地悪なのはご勘弁、時間のかかるレベル上げNG、ハクスラOK、パズルNG、フラグ立てはシンプル。そんな感じがいいのかな~。

 それで思い出しましたけど、個人的にととモノ3は物凄く面白かった……。レベル上がりまくり、パズルなしのテンポの良いハクスラ3DダンジョンRPGなので、興味ある人は遊んでみてください。

 あっ、更に思い出した。ととモノ2は魔法禁止区域+ディープゾーンで瞬殺全滅したの、ショッキングだったなあ……。一歩進んだ瞬間にブクブク沈んでいくの、あれは笑ってしまった……。3でそういうのが全部なくなったんだっけ。

最近は

 ウィザードリィエンパイアから始まったチームムラマサ(エクスペリエンス)さんがめっちゃたくさん3DダンジョンRPGを出されてるのと、アクアプラスさんがダントラを出してくれてるのと、さりげなくスターフィッシュさんが3DSにほぼ永久保存版的な形でエルミナージュシリーズをDL版で出してくれてるので、3DダンジョンRPGを遊びたい! となったら選択肢が無数にある今の時代は幸せですね。

 本家ウィザードリィもVita版囚われし亡霊の街が出てますし、ホント、ありがたいことです。

 版権の都合で無理と聞きますが、#1~5もバーチャルコンソールとかで遊べるようになったらな~と思うのですけど。未だにGBC版#1~#3は現役稼働してます。自分が生きてるうちに、このあたりの問題も解決したらいいなぁ。

ゲーム作りは時間と根気が必要

 などとそれっぽいタイトルにしましたが、Twitterでも書いたことのまとめなおしです。あんまりまとまってないですけど。今回は素材作りの話題がメインです。

 いま作っているスマゲビ用ゲームと箱庭セレナータは、明確な目的のもと作っています。スマゲビゲーは「一切素材を自作せず作ったらどのくらいで完成するか」。箱庭セレナータは「持てる時間とアイディアをすべて注ぎ込んだら何年かかるか」。

 ちなみにスマゲビゲーは90%完成しているのですが、だいたい2週間。箱庭セレナータは完成度50%で5年くらい。やばい。

 ゲーム作りはちまちまとしか進んでいかないので、諦めない根性と執念が必要になってくるなーというのが、まず結論。

作るものに限界はないけど時間は有限

 時間をかければある程度の質にすることは不可能ではないです。たくさんの人に見てもらったり、ある時間を注ぎ込んで質を上げていけば、割と見れる程度にまでは行けるみたい。

 でも、ひとつのゲームに数年かけてしまうということは、その人の作品はその数年でひとつしか出ないということなんですよね。それで構わないなら良いけど、その期間、その人は(ほぼ)存在しなかった扱いになってしまう。

 もしかすると時代が変わって、ツールがOS非対応になってしまうかもしれない。作り続けていくほどに過去の遺物になるかもしれない。他者の作品が自分が考えたアイディアを先に使ってしまうかもしれない(考えることは皆一緒)。それらに遭遇したり、遭遇する可能性に怯えながら作り続けていくことになる。

 作れるものに限界はないけど、物理的・精神的な限界はある、ってことかな~と。

 ほんとうに自己満足が目的の趣味だったら、そんなことどうでもいいと思うんですけど。遊んでもらうことを考えたら…。

素材作りは時間が果てしなくかかる

 ノウハウがないところから始める場合、使いやすいツールはどれか、作りやすい方法は何か、いろんなことを模索しながらやっていくことになります。

 ドット絵にしろ、ゲームエディタに最適化して、効率よく、うまく表示できるチップを作るには、エディタの仕様を完全に理解しないと作れない。

 立ち絵にしろ、ルールを何も決めずに依頼すると実際にゲーム画面に落とし込むときに苦労する。

 デザインフォーマットを何も考えずに作っていくと、最終的に全部作り直しになる。

 ちなみに作り慣れ始めた去年年末に時間をとってじっくり作り込んだ箱庭セレナータですが、チップ10000パーツを作るのに2ヶ月、UIワイド化に1ヶ月、スクリプト部のシステム修正に1ヶ月かかっていて、それでもまだ素材が足りないという状況。

 「見た目の違うマップを数種類以上作る」=「短編数作分の物量になる」と思って良いです。

 これが多人数でドットチップを作ることになったら…キャラ絵担当が複数人になったら…UIデザイナーが分担することになったら…。ノウハウ共有、クオリティバランスを保つために何をする、そういう問題が追加されていくことでしょう。

質を上げれば上げるほど、大量生産に不向きになる

 例えばマップパーツ。最終的に一人の人間がイラストを書いて、そのままゲーム中に落とし込むのがクオリティ的には最高なんですが、そのフォーマットでマップを作る=その人に頼りっきりになる→複数人で作る→絵柄のバランスをあわせるには……? 個人規模で作るには無理がある状況になっていきます。

 それに、いちど決めてしまったらレベルデザインができなくなるので、トラブルを避けるためにマップギミック的な要素を避けて作ったほうが完成する確率が上がる。単純なマップにせざるを得なくなる。単純なマップで問題ないゲーム内容にする必要がある。設計に関わってくる。

 既存チップでマップを作ったら、その上に手作業で書き足す…という手法も、若干難易度は下がるけど同様の問題をはらんでる。一度試しに作ってみましょう。そして、その作業をすべてのマップで行う気合と根性はあるか? 自分に問いかけてみましょう。

 自分の場合はこれから、ドット絵1万パーツ+αを組み立てて更に上から軽く修正することを想定しているのですが……気が遠くなりそう。

 個人規模で作れるものの限界値を学びましょう

それらを想定して、じゃあ何を作るか

  • 作れるものに限界はないけど、物理的・精神的な限界はある
  • 「見た目の違うマップを数種類以上作る」=「短編数作分の物量になる」
  • 質を上げれば上げるほど、大量生産に不向きになる

 結局のところ、実際作ってみないとわからないなぁといった趣があるので、実際作って痛い目を見るのが一番よさそう。もちろん一人で。

 なので、めちゃめちゃキレイなゲーム画面が作れて、かつ面白くて、複数作品作れてる人は、たぶん神です。普通の人が見つけられないものを見つけた人です。God Like。

 個人的には、初めてゲームを作る人が考えたゲーム内容は、その1/10作りきれれば御の字かなあ……って思います。いや、ほんとうに。

補足

 僕は音楽畑の人間なんですが、こうしてゲームを作りながら思ったのは、1日に10曲くらい作りたい……ってことでした。1日1~2曲じゃ遅すぎだなあ……と。音楽は効率が悪いなあ。なんとかうまい解決方法を探したいところ。

テストプレイのフィードバックで感じたこと

 箱セレの感想や、今作ってるスマゲビゲームのテストプレイのフィードバックから受けた印象と、何を直すべきで何を直さないべきか的なことをまとめた自分用のメモ。

(1)開始10分がすべて

 ゲームをはじめて10分、そのあいだのプレイがつまらなかったら多分プレイヤーはゲームを削除します。具体的には、自動イベントをなるべく減らして、プレイヤーがたくさん介入できて、かつサクサク進めるようにするのが一番よさそう。バトルがあるRPGなら、スタート直後にバトルが起きるといいみたい。

(2)ソロプレイゲームで起きたミスは全部ゲームのせいになる

 例え操作ミスで落とし穴に落ちたり、コマンド入力ミスをしたとしても、それはすべてプレイヤーの責任ではなく、ゲームの責任になります。

(3)難しいゲームはよほどノウハウがない限り避ける

 ギリギリのバランス、例えばギリギリジャンプしないと届かない地形だとか、ギリギリの手数でしかクリアできないパズルなどの難易度の高い要素については、初心者は避けておいたほうが無難です。前述の話題に繋がりますが、プレイヤーのミスは全部ゲームのせいになります。具体的に書けば、レビューで★が1つになったりします。

 あとは、暗記系のイベントもなるだけ避けたほうがいいかも。

(4)プレイヤーの言う「楽勝」は喜びの反応

 勝負ではないので、楽勝と言われたからって難易度を上げないように。プレイヤーをうまく勝たせるのがソロプレイゲームの作り方みたいです。

 これは個人的な意見ですが、ハードコアがウリなブランドでない限りは、すごく簡単でサクサク気持ちよく進むゲームで良いんじゃないかなーと考えています。

 プレイヤーが悩んでいるところを目の前で見ると、けっこうつらいものがあるんですよね。ストレス溜めてるのが空気で伝わってくるので、申し訳なくなってしまいます。

(5)バトルの長期戦はダレる

 50ターンとか100ターンかかるような戦闘はけっこうソロプレイゲームではきついです。10ターン、長くても20ターン程度で決着がつくようにしたほうがいいかもしれない。20ターンって物凄く長いですが。

 パターン攻略で操作ミスを誘発させるみたいなやり方もあるにはありますが、アクションゲームではありでも、ターンバトルでは決められたコマンド入力を行うだけになるので、若干作業になるかもしれません。

(6)要素はプレイヤーに気づいてもらえるように組む

 作り手が本気で隠した要素は、プレイヤーは絶対気付きません。説明していない要素はないものと扱われます(そもそも気付かない)。

 箱セレだとグリモア装備ウィンドウ上で、装備したグリモアを選択してサブキーを押すと装備が外れるだとか、そういうウディタデフォルト要素とかでも、知らない人は気付かないということです。

(7)救われない悲劇は大人用

 全く救いのない作品は反応もかなり重いです。それが狙いならアリですが、そうでないなら最後に救いは用意したほうがいいのかなあ……と。大人向けですね。

(8)テキストは読み飛ばされることを前提に

 一度しか表示されないシステム表示テキストや、一度しか表示されないヒントなどは、飛ばしたら詰みます。

 また、会話ウィンドウの横に立ち絵、更にマップでもキャラ演技があった場合はプレイヤーの視線誘導に注意したほうがいいです。立ち絵やキャラ演技が多く入る場合、たぶん会話ウィンドウの内容はうわのそらになります。

 ゲーム画面の情報量が多ければ多いほど、ひとつひとつの要素が希薄になって、受け取る側は気付きづらく、うわのそらになっていく印象を受けました。

(9)重要なイベントは素通りできないように

 自由度を上げたい等の理由で重要イベントを素通りできるようにすると、気付かず素通りして詰むプレイヤーが多発します。

(10)作り手が「詰まるかな」と思った箇所でプレイヤーは100%詰む

 「ここは難しいかな、気付くかな? 詰まるかな~。でもわかるよね」みたいなノリで作ったイベントはほぼ気付いてもらえません。(9)と合わせて注意したいです。